鼠ヶ関
念珠関(ねずがせき)。白河、勿来とならぶ、奥羽三大古関の一つ。
上方から日本海沿いの東北への玄関。ここを通って、はじめてエキゾチック・みちのくに足を踏み入れる。「いらっしゃいませ、東北へ」。今は山形、新潟の県境。
兄・頼朝に追われる義経一行も、ここを通って平泉へ落ちた。捜査の目が厳しい中、関所の役人は好意的で、宿まで手配してくれたという。
感激した義経、再び、北へ北へ。歌舞伎の舞台にもなった場面。彼の目には、みちのくはどのように映ったのだろうか。
俳人・松尾芭蕉も義経の哀れを想い、ここを通っている。海の波は、そうした記憶をすべて洗い流す。砂浜に残したはずの足跡はいずこへ。
ここは県境の域にとどまらない、今と昔を区切る関所なのだ。
(00年)
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